これが日本の現実。決して増えることはない「正規雇用」
これが日本の現実。決して増えることはない「正規雇用」
自動車業界が法の抜け穴をぬって非正規社員の無期雇用(ようするに非正規雇用を脱する機会)を回避しようとしている。
というか、「間違いなく回避する」だろう。
簡単にまとめると2012年の民主党政権時代に非正規雇用労働者の労働条件を改善しようと5年継続して1つの会社で非正規雇用としてはたいたら労働者は5年後には、無期限雇用を申し出る権利を得て、会社側はそれを「拒否する」ことはできないという内容。
5年が経過して今年から対象になる労働者が現れてくるはずであった。
法案が成立する過程で、経営側に妥協してこの5年間のうちに半年の空白がある場合は対象にならないという例外規定が設けられた。
多くの企業がこの「例外規定」を利用して、「無期限雇用」を求める権利が発生しないようにしている。
民主党政権には、多くの国民が期待を裏切られ失望しているようだ。
ただそんな中でも辛うじて、非正規雇用の労働者の条件を改善しようとなんとか通した法案は事実上骨抜きになるだろう。
新聞記事によると期限を定めた雇用者は1500万人おり、そのうち30%程度がこの「5年ルール」で無期限雇用を勝ち取れそうなところだったが、その大半が実現できないようだ。
企業側は「正社員化は増やしている」という。
ただその数は、本来無期限雇用を申し出ることができる人数の3分の1程度になるようだ。
あまり知られていないが、日本で「解雇をする」というのは法的には非常に難しいことなのである。
最高裁の判例で4つの基準が示され、「解雇対象者が平等に選ばれているのか」「配置転換や給与削減など雇用確保のために精一杯の努力をしたのか」などが問われる。
いったん正社員になった労働者が腹を括って「裁判に訴える!」となれば、実は勝てる可能性は高い。
良心的な、労働者の側にたった弁護士たちは通常とは違う、かなり低い報酬で裁判をやってくれる。そしてその1人1人は、どちらかという正義感の強い優秀な弁護士が多い。
地域の一人で加入できる労働組合に加盟すれば、その組合員たちは力を貸してくれるだろう。
ほとんどボランティアのような感じで、「他人のために」汗水たらして助けてくれるだろう。
会社側にとっては雇用の調整とは非常にリスクの高いことなのである。
一方で有期雇用ならば、「契約の更新をしません」というだけで一切のリスクから逃れられる。労働者がいくら何も言おうとも、「犬の遠吠え」にしかならない。
この差は非常に大きい。
私は、今日このブログでこういう日本が「いい」「悪い」というつもりはない。
ただ、一応、連合という労働者の代表を代弁する政党が政権を取っているときにさえ、非正規雇用の労働条件を守ることはこの程度にしかできない。
自民党政権の中で見た目改善されるように見える時もあるかもしれないが、この流れは強まることはあっても、弱まることは絶対にない。
そういう流れの中で自分はどうするかを人生設計する必要があるのではないだろうか。