日本はお金持ち優先の国?貧乏人にやさしい国?
日本はお金持ち優先の国?貧乏人にやさしい国?
本日のニュースで高額給与所得者の給与所得控除の減額が検討されている
また基礎控除の拡充が検討されていると報道された。
サラリーマンは、その給与を得るために、背広や靴を買っても原則経費には認められない。
自営業者に比べて不公平ということで、サラリーマンは収入に応じて給与所得控除が認められている。
給与が一定レベルを超えたら、その収入を得るために必要な経費(給与所得控除)はかわらないだろうという理屈で、ある程度以上で給与所得控除は頭打ちになる。
今回はこの給与所得控除の額を220万円から引き下げて実質、高額給与所得者に対して増税。
基礎控除拡充の恩恵は課税所得のある全員が受けるが、その減税インパクトは中所得者から(所得税を払っている)低額所得者の方が大きい。中所得者-(所得税を払う程度の)低所得者にとっては減税の方向だ。
今回のことだけは、金持ちから税金を集めて、そうでない一般の人にその余剰を配分する方向の政策である。
日本ことを「貧しい人にやさしい社会」という人もいる。
例えば生活保護法、およびそれを施行する様々な細則はおそらくそうだろう。
過去どんなに税金を滞納していようと、どんなにいい加減な生活をしていようと、
今現在が規定にある「貧困」にあれば、行政は生活保護の申請を認めざるをえない。
水際作戦の追い返しはあってもNPOや弁護士などの知識がある人がついてくれば、拒否することはできない。
法律で明確に規定されている。
また相続税の控除額の引き下げが行われ、実質、お金持ちへの増税がされている。
一方で3%-5%-8%と上がってきた消費税は対象となる消費が総所得に占める割合が高い低所得者-中所得者に相対的には負担が重い。
高額所得者にとっては恩恵ある消費税である。
今は、皆慣れてしまって、そんなことを考える人もいないだろうが。
私は日本の現政府、現在の官僚組織が「金持ち優先」だとは言い切れない。
官僚組織の多くの人が「日本の将来」を考えて、適切な負担は富裕層をするべきだと考えているだろう。(ただし、自分の出世が第1で、世のため人のための思考は第2だと思うが)
私なりの定義をすれば今の日本の方向、政策は
「短期的な企業の利益、競争力強化が第一優先の政策の国」とでもなるだろう。
安倍首相だって、歴代自民党の総裁だって、みな「国民のために」とは一応思っているだろう。
ただそのためには、「競争力を上げて、収益を上げて、その結果、国民が潤う」ことが第一。
その過程の中で、(短期的な)競争力をそぐことにつながりかねない政策には及び腰になる。
そして多くの一般大衆が恩恵を受けるのはいつも先延ばしになっていく。
(上位10%程度の成功者はよりお金持ちになるが)
雇用の安定化(正社員化や契約社員の首を切りにくくすること)とか、労働時間の短縮とは口ではいうけれど、
あくまで労使の創意工夫の中で、会社の収益を圧迫しないように、競争力を落とさない範囲でのことだ。
この20年で国民の平均所得は約20%減少した。
一方で企業の内部留保は膨大な額に膨れ上がった。
本来は資本主義の中での競争力とは、働くものが適切に体を休め、子供を作り、能力さえあれば、(経済負担関係なく)高度教育を受けることだ。
例えば、前回私が述べたような残業代の100%強制支給など。
長期的に見れば、日本という資本主義社会が健全に発展していくためには、優秀な労働力を再生産するためには、企業の収益の一部を強制的に労働者に配分していくしかない。
実は日本の高度経済成長とその後の成長の一つの理由は、一億総中流などと呼ばれた日本を作りあがた背景には、収益の一部を労働者にきちんと還元する仕組みが機能していたためだと思う。
しかし、そんな政策を現在の政権党が自ら率先して行うことはないだろう。
目先の競争力、目先の収益を圧迫することには、強い抵抗が起きるだろう。
まあ私個人に限って言えば、私は日本がどの方向に行こうとニュートラル。
ごく一部のお金持ちが増えて、私のお客様になってくれば、私にとっては得になるだけなのだが。