立場による「正義」はいろいろある。
立場による「正義」はいろいろある。
ここでいう正義とは
(違法ではないことを前提にして、世間一般の常識に照らして多くの人に支持を受けること、道理があることというやや広い意味で使っています)
ある日本以外の国で現地の人たちの交流会があって参加したことがある。
1次会、2次会と顔ぶれが変わっていく中で、ちょっと「面白い」ことが起きた。
1次会では、「建設系の日系会社に現地採用になった方」と交流した。
自己紹介の中で「たまたま遊びに行ったら現地採用になってしまった」という。
細かい表現の仕方は覚えていないが、「たまたま遊びにいっただけなのに、現地採用の安い給料で雇用されてしまった」という不満に近い表現だったと思う。
2次会ではかなりメンバーが入れ替わり、これまた、たまたまその「建設系日系会社」の経営者とお会いすることになった。
1次会で退席された最近現地採用した日本人の方に対して
「いろいろ役に立っている部分はあるけれど、もう少ししたら自分で仕事を取って来るなど利益面で貢献してもらわないと」といった発言があった。
これもまた細かい表現は覚えていないけれど、
(ローカルの人に比べてかなり高い給料を出しているのだから、今は大目に見ているけれど、もう少ししたら具体的に利益に貢献してくれないと困る)という感じだった。
私はお二人の発言をどうこう論評するつもりはない。
(ほかの参加者の方も そういう話題は丁寧に避けていたように記憶している)
会社を経営する立場、 雇用される立場、それぞれの立場からすれば、それぞれ「もっとも」なお気持ち、意見だろうと思う。
やや大きな表現をすれば、立場によってそれぞれの「正義」があるということだ。
別の例を1つ。
以前、一般の事務職や製造業に派遣労働者が認められるときの、一部の識者と言われる方の発言。
「派遣労働者は責任軽く、決まった時間だけ働きたい労働者によっては便利な仕組み。また経営者側も労働コストを比較的コントロールしやすい方法。これによって企業の利益が増して、労働者の雇用の機会が増える。WINWINの仕組みだ」という説明があった。
現在、こんな発言を政府の与党なり、官僚がしたら「何をいっているんだ!!」とかなり強い批判を受けるだろう。
ただ派遣労働者が激増し始めた最初の頃は普通にこんな発言がされた。
一見すると日本の将来を考えて、日本全体の利益になるかのように見せた発言。
今となってみれば、派遣労働者のほとんどが、企業が労働コストをコントロールしやすくするための目的であり、ほとんど多くの労働者の利益につながっていないことは、与党の関係者も一応認めるだろう。
目の前の発言やコメントがどういう立場から発せられたものか、よく見ておかないと結局自分が損をする。
「私は日本の経営層を代表して、まず第1に企業の利益を確保する立場から発言します」
なんて、前置きは誰もしないのだから。