あまり知られていない関税法 と 外為法の違い
次の場合、日本人(日本居住者)が日本に入国する際に税関に申告義務があるかどうか、
ご存じだろうか。
そして消費税を税関で払う必要があるかどうかご存じだろうか
その1
その旅行中に海外で購入した金額30万円の時計
その2
その旅行中に海外で購入したカンガルー金貨2枚(購入価格 約27万円)
実は、上記その1 その2ともに日本に入国する際に税関で申告する義務が生じる。
そして8%の消費税を払う義務が生じる。
アルコール、たばこなど一定の商品には免税範囲が定められている。
その範囲ならば、消費税は払う必要はない。
免税範囲は「携帯品・別送品申告書」には 下記のように説明されている。
"酒類3本(760ml/本)
紙巻たばこ。外国製及び日本製各200本
(非居住者の方の場合は、それぞれ2倍となります。)"
*20歳未満の方は酒類とたばこの免税範囲はありません。
香水2オンス(1オンスは約28ml)
"海外市価の合計額が20万円の範囲に納まる品物
(入国者の個人的使用に供するものに限る。)"
"*海外市価とは、外国における通常の小売価格(購入価格)です。
*1個で20万円を超える品物の場合は、その全額に課税されます。"
つまり20万円を超えるものを海外で購入して持ち込むときは、申告が必要だ。
そして少なくとも消費税が課税される。
アルコールやたばこなどは国内法に準拠して免税範囲を超える部分には酒税やたばこ税が課税される。
よく金(純度90%以上)を海外(オーストラリアや香港)で購入して1キロ未満を日本に持ち込む場合は、税関申告が不要と書いてあるブログ記事もある。
これは誤解である。
1キロを超える金(純度90%以上)を持ち込む場合は、この税関の「携帯品、別送品申告書」のほかに、外為法に基づく「支払い手段等の携帯輸出、輸入申告書」(いわゆる白い紙)が必要になる。
1キロ以下の場合は、この「支払い手段等の携帯輸出、輸入申告書」の提出が不要になるだけであり、合計金額が20万円を超える場合は、関税法に基づく「携帯品、別荘品申告書」の提出は必要になる。
そして海外で購入した金を日本に持ち込む場合は、ほかの商品と同じように税関で消費税を払う義務が生じる。
例えば香港で カンガルーコイン(金貨)を買うときは日本でいう消費税がない。
一方で日本で売却するときは消費税を上乗せした金額で売ることになる。
実際問題、一番香港で安く買えるところ、日本で高く買ってもらえるところの差は為替レートの関係もあるが、2.5-4%の差がある。
仮に香港で消費税なしで購入したとしても、その金額が20万円を超えるれば、日本の税関で関税法に基づいて申告を行い消費税を払う義務が生じるのである。
消費税8%上乗せして日本で売っても、利益は残らない。
1枚程度(約135000円)くらいなら 記念品として堂々と持ち込める。
いわば、記念、お土産的な位置づけだ。
ところがこれを蓄財や資産移動手段として頻繁に大量に行えば、罰金や最悪、懲役も含めてた刑罰が待っている。
ただ実際問題、この質問に回答してくれた税関職員も認めていたが、「金貨を10枚、20枚 無申告で持ち込まれても、私たちが全部把握できているわけではない。ただそれは法律に認められたものではなく、罰則もきちんとあることだ」ということだ。
世の中 そんなにおいしい抜け道はないのである。