世の中の基本的な仕組みを理解したうえで投資戦略を考える。その1
世の中の基本的な仕組みを理解したうえで投資戦略を考える。その1
資本主義が世界に誕生して200年あまり。30年ほど前にはライバルとも、資本主義の次の世界とも目されていた「共産主義」が消え去って、世界には大雑把に言えば資本主義しか存在しない。
今の中国だって政治体制は共産党の一党独裁だけれど、経済対策、経済政策は資本主義そのものであることに誰も異論をはさまないだろう。
資本主義を素人言葉で翻訳すれば、資本の力がすべてを動かすもとになる。
それが生産性を上げ、利益を追求し、その利益をもとにさらに利益を上げる。
資本主義社会になって多くの庶民の生活は豊かになったけれど、それは資本主義そのもの恩恵だったのだろうか。ここを間違えるとものの見方を間違える。
マルクスが資本論を書いた頃の初期資本主義の労働者の実態はそれはそれは悲惨なものだったようだ。そこから労働者が力を合わせて、資本主義に対抗する政党や集団を作り上げて、資本主義が培った富の一部を労働者が勝ち取っていった。
ソ連が崩壊して、西ヨーロッパのほとんどの共産党は名前を変えて、いわゆる社会党や社会民主党の一部となっていった。ソ連東欧のことを懐かしむ人はいないだろう。
しかし一方でヨーロッパのほとんどの国で2週間~1か月の有給休暇やバカンスが保証されているのか?
日本でいうサービス残業なんてことをヨーロッパの会社がさせたら使用者は重い罪に問われるのはなぜか?
「ここで利益の一部を労働者に配分しないと共産党や社会主義政党に票が集まってしまう。
ソ連の影響力が強まってしまう。それは困る。本意ではないけれど、ある程度譲歩しよう」
という大きな圧力がヨーロッパ資本の中に加えられ続けてきたからだと思う。
資本主義の骨格としての仕組みは実は、いつも同じなのである。
ところが現代の日本ではそのあたりが、かなり見えにくくなっている。
安倍首相が労働者の賃上げを経団連に依頼したり
民進党が批判される一つの理由に「労働組合の支持を受けて、一部の既得権勢力のためにだけ活動している」なんてことがあげられる。
安倍首相の発言は賃上げに一定の影響力を及ぼすだろう。
労働組合が自分の組合(正社員)の利益ばかり考えて、組合にならない(なれない)非正規社員のことまで手が回っていないという部分あっただろう。
ただ、それで「根本的な見方、考え方」を見誤ってはならない。
現代日本型資本主義を素人用語で表現すれば
「資本(金、権力)を持ったものが、自分の利益(お金、権力、名声などを含む)を維持拡大するために、その他大勢の中間層、貧困層を飼いならし、あわよくばその仕組のサポーターとして利用していく社会」とでもいえるのではないだろうか
誤解のないように付け加えておけば、私は今の政権や日本の在り方に異議を唱えているわけではない。
そのような社会の仕組みや流れの正確に把握して、投資や今後の人生の戦略を考えましょうといっているのだ。
例えば、非正規社員として働くある青年を想定してみよう。
彼が「いつかは正社員になりたい。そのために安倍さん頑張って」と思って自民党に投票するのは愚の骨頂。
自民党がリップサービスで労働者の労働条件改善を口にすることはあっても、それは選挙目当ての仮の姿だ。
彼のやっていることは、進行してくる戦車の前に「これが私の幸せの方法」と思い込んで、自分の身を投げ出すようなもの。
私が一番なりたくない姿だ。
この青年が
「自分は今は非正規雇用で苦しい。でも社会の変化の中で、必ず隙間産業や成功できる分野、人脈を見つけて、この流れの中で成功してやろう。そのために安倍さんはもっと今の流れで頑張ってほしい」というならば、私は彼の態度を尊重できる。
次回は、現代資本主義の申し子ともいえるホリエモンの現代日本へのおもしろい警鐘を紹介します。